加熱の方法
熱の伝わり方は「対流」「伝熱」「放射(輻射熱)」の3通りあり、実際の調理はこれらが組み合わされた形で加熱されます。「対流」は温まった水が上昇するように液体や気体が移動する方法「伝熱」は熱が物質を伝わっていく方法「放射」は太陽が地球を温めるように電磁波が直接物質に働き温度を上げる方法
遠赤外線と加熱の仕組み
遠赤外線は、太陽光に含まれる可視光線や紫外線と同じ電磁波の仲間です。ものの表面からは、大小の違いはあるが電磁波の形でエネルギーが放出されています。そのエネルギー量はもの自体の温度が高くなるほど大きくなります。
電磁波である遠赤外線は、空気に吸収されにくく、食品など高分子物質には吸収されやすい性質があります。吸収された遠赤外線のエネルギーは、電子レンジのマイクロ波と同様に物質の分子を振動させて温度を上昇させます。これが遠赤外線加熱です。遠赤外線以外の周波数(波長)では、「周波数(波長)が合わない」ので、こういう効果が小さいのです。
マイクロ波による加熱は電子レンジでおなじみですが、遠赤外線加熱とのちがいは電磁波の振動数の違いによります。遠赤外線の振動数はマイクロ波の約1万倍で細かく震え るように分子を振動させますが、マイクロ波では分子を激しく回転させますので、組成変化を起こす場合があります。
一般にセラミックスは遠赤外線を有効に放射する材料で遠赤外線の放射材料として広く利用されています。
石窯での遠赤外線加熱の効果
遠赤外線は食品の内部まで浸透し加熱されると誤解されますが、遠赤外線は食物表面から1ミリ深さのうちで吸収され熱に変わり、内部へは伝導によって熱が伝わります。このような性質から遠赤外加熱は食品の表面温度が素早く上昇し、いちはやく水分が蒸発することで表面はカリッと乾燥した仕上がりになり内部の水分の蒸発を防ぎます。食品の内部には表面からの熱伝導でゆっくり加熱され、水分が保たれしっとりとした仕上がりになります。さらに、じっくり加熱はタンパク質の分解を防ぎ、肉をおいしくするアミノ酸を形成、遠赤外線加熱はグルタミン酸を増加させる働きがあると言われています。